初めて海外FXを始める方にとって、確定申告や税金の計算は少し難しく感じるかもしれません。
しかし、確定申告の方法や税制をしっかりと理解しておくことで、取引で稼いだ際に税金面でトラブルを避けることができます。
この記事を読むことで、確定申告が必要になる人・不要な人の条件、用意すべき書類、申告と納税の具体的なやり方がわかります。
さらに、節税して税金を安くする方法、海外FXと国内FXの税金の違いについても知ることができます。
この記事は、日本居住者に対して海外所在業者での口座開設や利用等を促すものではなく、あくまでも海外所在業者に関する一般的な情報を発信するものです。日本居住者は、日本金融庁に無登録の海外所在業者を利用せず、日本の金融ライセンスを取得している業者を利用するようにしてください。
海外FXと税金について
海外FXで稼いだら納税は必要?
海外FXや国内FXの取引で利益が発生した場合、その年の1月1日〜12月31日までの1年間で得た所得を計算し、翌年の3月15日までに確定申告書を提出する必要があります。
確定申告を行ったら、まずは所得税を納税しなければなりませんが、一定額の控除と経費の差し引きができるので、それらを最大限活用して少しでも税金を安く抑えましょう。
海外FXで稼いだ場合の所得は以下のように計算します。
海外FXの利益-経費(海外FXにかかる費用)
※他の副業の所得があればその分も含めて計算
なお、海外FXの利益が多くても、経費と合算した金額が一定額以下であれば、確定申告や納税の必要はありません。
ただし、利益が出た場合でも1円でも所得がある場合は住民税の申告が必要です。
もし海外FXの利益を確定申告しないこと、脱税行為にあたり、重いペナルティが科される可能性があるので、自分は納税義務があるかを調べ、必要な場合はしっかり納税しましょう。
確定した利益は所得になる・含み益は所得にならない
海外FXで利益確定すると所得になりますが、まだ決済していない含み益は所得とはみなされません。
つまり、課税対象になるのは確定した利益のみで、含み益に対して税金はかかりません。
年末に多くの含み益がある場合は、年内に決済すると税金が高くなる可能性があるため、翌年に持ち越すことを視野に入れても良いでしょう。
キャッシュバックも課税対象
特定のサイトを経由して海外FXの口座開設をすると、取引量に応じてキャッシュバックを受けられる「キャッシュバックサイト」というものがあります。
例えば、TariTali(タリタリ)、RoyalCashBack(ロイヤルキャッシュバック)、FinalCashBack(ファイナルキャッシュバック)などが有名です。
キャッシュバックを得ると、海外FXで得た利益と同じ「雑所得」に分類され、利益とあわせて課税対象となります。
例えば、年間100ロットの取引で30万円の利益に加え、1ロット取引ごと300円のキャッシュバック(合計3万円)がある場合、利益とキャッシュバックを合わせた33万円が課税対象となります。
海外FXアフィリエイト・IB報酬も課税対象
海外FX業者のアフィリエイトでIB報酬を得た場合も、雑所得もしくは事業所得として課税対象となるので、確定申告が必要です。
税率は国内のアフィリエイトで稼いだ場合と基本的には同じですが、海外で発生した売り上げのため、1年間の売り上げが1,000万円を超えても消費税の納税義務はありません。
ボーナスは課税対象外
海外FXでは口座開設ボーナスや入金ボーナスなど、お得なボーナスを提供している業者が多いです。
一見、ボーナスを得ると課税対象になるかと思いますが、ボーナス自体には課税されません。
ただし、そのボーナスを使って実現した利益に関しては、一定の要件を満たした場合、確定申告と納税の必要が生じます。
確定申告が必要な人・不要な人
海外FXで利益を得た場合、以下の条件を満たすと納税の対象となります。
- 給与所得者(会社員・アルバイト)の場合:年間所得が20万円を超えると納税が必要
- 個人事業主や専業主婦の場合:年間所得が48万円を超えると納税が必要
給与所得者:20万円を超えると確定申告が必要
会社員やアルバイト・パートなどの収入は「給与所得」として、海外FXで得た収入は「雑所得」として扱われ、雑所得(利益から経費を引いた額)が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
また、海外FXとは別にポイントサイト、フリマ販売、アフィリエイトなどで副収入を得ている場合は、それらも含めて計算する必要があります。
ただし、年間の雑所得が20万円未満の場合は、課税対象にはなりません。
個人事業主や専業主婦:48万円を超えると確定申告が必要
個人事業主や専業主婦が海外FXで利益を得た場合、「雑所得」として扱われ、年間48万円を超えると確定申告が必要です。
海外FX単体の所得が48万円未満でも、他の所得を合算した結果が48万円を超える場合には、確定申告をする必要があります。
個人事業主や専業主婦の基礎控除は48万円なので、年間所得が48万円以下の場合は所得税はかかりません。
確定申告と住民税の申告の違いについて
給与所得者は給与以外の所得が20万円未満、給与所得者以外は48万円未満であれば、確定申告は不要ですが、あくまでも「所得税」に限ったことです。
自身が住む市区町村へ払う「住民税」は免除されず、1円でも収入を得ていれば住民税の申告および納付が必要です。
確定申告をしないと住民税の情報が届かず、本来払わなければならない住民税を納め忘れる可能性があります。
少しでも収入があれば、住民税の申告を忘れずに行いましょう。
海外FXの確定申告に必要な書類
年間取引報告書
海外FXで生じた損益や、取引の履歴を確認するためには、年間取引報告書が必要になります。
年間取引報告書は、多くのトレーダーが利用している取引プラットフォームMetaTrader(MT4・MT5)から入手できます。
MetaTraderを利用して年間取引報告書を入手する方法は、次のとおりです。
- MetaTraderを起動し口座へログイン
- 「ターミナル」を表示
- 「口座履歴」タブを開く
- 報告書の期間を指定する
- 報告書を保存する
源泉徴収票
給与所得者は、一般的に12月文の給与明細と一緒に「源泉徴収票」が送られてきます。
確定申告書の「給与所得」の欄に、源泉徴収票に書かれた金額を記入する必要があるため、源泉徴収票は必ず用意しましょう。
各種控除証明書
確定申告の際は、以下のような控除を利用して所得を下げ、所得にかかる税金も下げることができます。
控除によっては証明書が必要な場合もあるので、必要に応じて添付するようにしましょう。
雑損控除 | 災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用される |
医療費控除 | 一定額以上の医療費を支払った場合に適用される |
社会保険料控除 | 健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った場合に適用される |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される |
生命保険料控除 | 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用される |
地震保険料控除 | 地震保険料を支払った場合に適用される |
寄附金控除 | ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をした場合に適用される |
障害者控除 | 納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用される |
寡婦控除 | その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない寡婦に適用される |
ひとり親控除 | 納税者がひとり親であるときに適用される |
勤労学生控除 | 学校に行きながら働いている場合に適用される |
配偶者控除 | 配偶者の合計所得が48万円以下の場合に適用される(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) |
配偶者特別控除 | 納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である場合に適用される |
扶養控除 | 16歳以上の子どもや両親などを扶養している場合に適用される |
基礎控除 | 全ての人に適用される |
経費計上する領収書・レシート
海外FXにかかった経費を申告すると、収入からかかった経費を差し引くことができ、所得と所得にかかる税金を下げることができます。
具体的には、FX取引で生じた取引手数料(スプレッドは含まない)、取引に使ったパソコン、FXの勉強に使った書籍・商材などが経費に計上できます。
ただし、経費計上する場合はその証拠として領収書やレシートなどを保管しておく必要があるので、確定申告するまえにそれらを整理しましょう。
確定申告から納税までの具体的なステップ
まずは、前章で挙げた必要書類を準備しましょう。
- 年間取引報告書
- 源泉徴収票
- 各種控除証明書
- 経費計上する領収書・レシート
海外FXで得た利益は、年間取引報告書で正確に知ることができるので、MetaTraderを通じて入手しましょう。
なお、複数の業者で取引して利益を得た場合は、各業者のMetaTraderから業者ごとに報告書を入手して、全部でいくら稼いだか集計する必要があります。
もし他の副業で所得を得ている場合、海外FXで得た利益と合わせて「雑所得」に含める必要があります。
海外FXや他の副業でかかった経費を計上することで、所得を下げて節税することができます。
領収書やレシートと照らし合わせて、経費にできるものはなるべく漏れなく計上しましょう。
確定申告書は、以下の方法で入手することができます。
税務署で取得 | 確定申告書は、所在地の税務署で入手することができます。税務署に行き、申告書を取り寄せるか、窓口で直接もらうことができます。 |
郵送で取得 | 確定申告書は、税務署から郵送で送られてくる場合もあります。 税務署に登録されている住所に送付されるため、住所変更がある場合は税務署に連絡して変更手続きを行ってください。 |
インターネットでダウンロード | 税務署のウェブサイトや国税庁のウェブサイトで、確定申告書をダウンロードすることもできます。 ダウンロード後、印刷して記入するか、パソコン上で直接記入することができます。 |
確定申告書の書き方について、以下のステップを参考にしてください。
- 個人情報を記入する:確定申告書の最初には、氏名や住所などの個人情報を記入します
- 所得に関する情報を記入する:海外FXで得た利益や他の副業で得た所得など、全ての所得を合算して記入します
- 経費に関する情報を記入する:海外FXや他の副業でかかった経費を記入します
- 控除の情報を記入する:自身が対象となる控除の情報を詳細に記入します
- 総所得や課税所得を計算する:所得や経費、控除をもとに、総所得や課税所得を計算します
- 納税額を計算する:最後に所得税の納税額を計算します
所得税の税率は次の表で求めることができます。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
確定申告書が完成したら、以下のいずれかの方法で提出しましょう。
税務署への直接提出 | 所在地の税務署に直接確定申告書を提出することができます。税務署に行き、提出窓口で申告書を提出します。提出後、税務署から受領証が発行されますので、必ず保管してください。 |
郵送による提出 | 確定申告書を郵送で提出することもできます。提出期限までに申告書を税務署の指定の郵送先に送付してください。必要な書類や証明書なども同封し、確実に配達されるように注意してください。 |
e-Taxを利用した提出 | e-Taxという電子申告システムを利用して、確定申告書を提出することもできます。e-Taxを利用するには、事前にマイナンバーカードや電子証明書の取得が必要です。詳細な手続きや利用方法については、国税庁のウェブサイトや税務署の案内を参考にしてください。 |
確定申告書を提出したら、所得税を納税期限までに納付しましょう。
次のような方法で収めることができます。
振替納税 | 確定申告の申告期限までに税務署へ依頼書を提出すれば、指定口座から自動的に引き落とされる。 |
ダイレクト納税 | e-Taxを利用して届出をした預貯金口座からの振替で納税する方法で、提出期限の約1か月前までに事前手続きが必要。 |
インターネットバンキング | インターネットやATMを通じて納税。 |
クレジットカード | 国税のウェブサイトから手続きを行い、納付金額やクレジットカード情報を入力することで納税が可能。納付金額に応じて決済手数料がかかり、カード会社の引き落とし日に後払いとなる。 |
コンビニ払い | ローソン・ナチュラルローソン・ミニストップ・ファミリーマートいずれかの店頭で納付が可能。30万円以下の納付が可能で、支払い方法は現金のみ。 |
窓口納付 | 金融機関や税務署の窓口で納付書による納付。支払い方法は現金のみ。 |
所得税の納付が難しい・期限に間に合わない場合
所得税の納付が難しかったり、納付期限までに間に合わない場合には、猶予制度や延納制度が利用できます。
猶予制度は、納税が困難な場合や特定の事情がある場合に税務署に申請することで最大1年間納税が猶予される制度で、延滞税は申請により軽減されます。
期日までに所得税を納付が難しい場合、確定申告書に記載して延納制度を利用できます。
納付期限までに納付額の半分以上を納付すれば、残りの金額の納付期日を延長でき、延納期間中は年7.3%または「特例基準割合」の低い方で利子税がかかります。
所得税の期日までに納付しなかった場合、延滞税が自動的に科され、最高税率は延滞制度を使ったときよりも高い14.6%となります。
預貯金口座の残高不足で振替ができなかった場合でも延滞税が発生します。
所得税の確定申告書を提出すると、捺印された控えを受け取れます。
控えは、住宅ローンや自動車ローン、奨学金などの申請に必要で、お子さんがいる場合は、学童保育などの申し込み手続きにも必要なので、保管しておくことが大切です。
また、個人事業主の帳簿や領収書などの保存期間は、青色申告では7年、白色申告では5年と定められているため、これらも保管しておきましょう。
海外FXで有効な節税方法
海外FXで大きな利益を得ると、最大で45%(住民税含むと55%)程度の高い税金がかかってしまいます。
しかし、節税方法を知り正しく実践することで、安全かつ確実に節税することができるので、9つの具体的な節税方法とそれぞれの注意点を紹介します。
- 可能な範囲で経費計上する
- 他の雑所得と損益通算する
- 所得控除を活用する
- ECN口座の取引手数料を経費申告する
- 法人口座で取引する
- 配偶者と分散してトレードする
- 取引の一部を国内FXで行う
- 大きな含み益を翌年に持ち越す
- 税金の低い国に移住する
可能な範囲で経費計上する
海外FXをする上でかかる費用や手数料などの経費を計上し、利益から差し引くことで税金の額を減らすことができます。
例えば次のようなものを経費として計上できます。
- FXの取引手数料(スプレッドは含まない)
- FX取引に使ったパソコン
- 家賃や固定資産税(全額経費にはできないため家事按分)
- 机や椅子(FX以外にも使っているなら家事按分)
- 自宅インターネットなどの通信費(プライベートにも使っているなら家事按分)
- FXに関連する書籍・商材
- FXセミナーの参加費
- FXの練習ソフト(ForexTesterなど)
ただし、FXと関係の無いものまで経費に含めてしまうと、税務調査された際に私的なものと認定されやすく、追加で税金を納めることになるので注意しましょう。
また、家賃、水道光熱費、通信費など、プライベートな利用が含まれる科目は、一定割合で業務利用とプライベート利用で分けて家事按分する必要があります。
他の雑所得と損益通算する
海外FXで利益を得ていても、他の雑所得(仮想通貨取引やブログ運営など)で損失が出ていれば、これらの損益を通算することができます。
通算することで雑所得が抑えられ、結果的に節税が可能です。
所得控除を活用する
所得控除とは、所得金額から特定の金額を引く制度で、全15種類の控除があります。
各控除にはそれぞれ異なる計算方法や要件があり、自分で申告しなければならないため、適用できる控除を見落とさずに申告するようにしましょう。
医療費控除、社会保険料控除、寄附金控除などの控除制度を活用することで、課税金額を抑えられます。
ECN口座の取引手数料を経費申告する
ECN口座ではスプレッドがほとんどかからないかわりに他に取引手数料があります。取引手数料は経費計上できるため、節税につながります。
ちなみに、スプレッドは経費にできないため、手数料が発生せずスプレッドが広いSTP口座は節税面においては不利です。
法人口座で取引する
海外FXでの利益が年間500〜600万円を超える場合、日本で法人(合同会社が手軽でおすすめ)を作り、海外FXの法人口座で取引することで、節税が可能です。
個人口座は最大55%(所得税45%+住民税10%)の税率が適用されますが、法人口座なら最大でも40%程度に抑えられます。
また、個人口座では他事業との損益通算や損失繰越ができませんが、法人口座なら他事業との損益通算ができ、最長9年間まで損失繰越が可能です。
ただし、法人を設立・維持するにあたっては最低でも6万円(合同会社)がかかり、海外FXの法人口座を作るにはいくつかの書類を用意しなくてはならないため、個人口座よりも費用と手間がかかります。
海外FX 個人口座 | 海外FX 法人口座 | |
---|---|---|
所得区分 | 雑所得 | – |
税率 | 所得税:5.0〜45.0% 住民税:10.0% | 法人税:15.0~23.2% 地方法人税:法人税の10.3% 法人住民税:7.0% 法人事業税:3.5〜7.0% |
損益通算 | ||
損失繰越 | 最長9年間まで | |
経費計上の幅 | 狭い | 広い |
赤字での課税 | ほぼ無し | 最低7万円〜 |
未決済利益 | 課税されない | 課税される |
レバレッジ | 数百倍〜数千倍 | 数百倍〜数千倍 |
配偶者と分散してトレードする
累進課税制度の特性を生かして、自分1人で大きな金額を稼ぐよりも、夫婦で分散して稼ぐことで税率を抑えて節税ができます。
例えば、1人で年間1,000万円の雑所得を得ると約300万円の税金がかかりますが、夫婦で500万円ずつ得ると約260万円に抑えられ、40万円の節税ができます。
とはいえ、どちらかの年収が非常に高かったり、他事業でも収入を得ている場合は、節税効果が薄い場合もあるので、事前にシミュレーションすると良いでしょう。
取引の一部を国内FXで行う
海外FXの税率は最大で45%(住民税含むと55%)程度になりますが、国内FXなら一律20.315%なので、取引の一部を国内FXで行うことでトータルの税率を抑えられます。
また、国内FXでは過去3年分の損失を繰り越せるので、直近の年で損失が出ている場合は今年の利益と相殺して税金を抑えられます。
ただし、国内のFX業者は海外FXに比べてレバレッジが低い、ゼロカットがない、取引銘柄が少ないなどのデメリットも多いため、取引しやすい業者を選ぶことが大切です。
また、海外FXと国内FXでは損益通算ができない点にも注意が必要です。
大きな含み益を翌年に持ち越す
年末に大きな含み益を抱えている場合は、その全てもしくは一部を翌年に持ち越すことで、その年の所得を抑えることができます。
例えば、年末に含み益1,000万円のポジションがある場合、年内に全額利益確定すると1,000万円の利益となりますが、300万円だけ決済して700万円は未決済にすれば、700万円に対しては税金がかかりません。
MetaTraderで分割決済するには、保有中のポジションをダブルクリックもしくはタップして、決済したいロット数を入力するとそのロット数ぶんだけ成り行き決済できます。
指値で分割決済はできないので、より計画的に分割決済したい人は、エントリー時にロットを分けて注文することをおすすめします。(例:10ロットトレードを予定しているが、2ロット×5回に分けるなど)
税金の低い国に移住する
FXで稼いだ利益に税金がかからない国(シンガポール、UAEドバイなど)に移住することで、日本でFXをやるよりも圧倒的に税負担を抑えることができます。
ドバイやシンガポールなどではインフラトラブルは少ないですが、タイ、マレーシア、フィリピン、香港などでは住む地域によってインフラが脆弱な場合もあり、思うように実生活をおくれないことも十分に考えられます。
また、移住先の金融当局の方針やタックスヘイブンに対する国際的な締め付けによって、急に税制や法律が変わる可能性もあるため、日々の動向に目を光らせなくてはなりません。
基本的に永住権を取得するにはハードルが高いため、多くの人が長期滞在ビザを使うことになりますが、ビザの更新手続きについても十分に考慮する必要があります。
海外FXと国内FXの税制の違い
海外FXと国内FXは、同じFXトレードでも税制に大きな違いがあります。
特に、国内業者と海外業者の両方を使い分けている人は、税制の違いを正しく理解しておかないと、想定よりも大きな納税に頭を悩ませたり、納税資金が足りなくなる可能性があります。
ここからは、海外FXと国内FXの税制の違いについて、詳しく解説していきます。
項目 | 海外FX | 国内FX |
---|---|---|
課税方式 | 総合課税 | 申告分離課税 |
課税区分 | 雑所得 | 先物取引に係る雑所得等 |
税率 | 約15%〜55% | 一律約20.315% |
損益通算できる範囲 | 他の副業と損益通算可能 | 他の国内FX同士で損益通算可能 |
損益繰越 | できない | 最長3年まで |
課税方式の違い
海外FXと国内FXはどちらも利益を「雑所得」の区分で計上しますが、課税方式は大きく異なります。
海外FXの課税方式は「総合課税」であり、所得に応じた税率が適用されます。
本業の給与所得と合算され、その合計額に対して課税が行われます。
一方、国内FXの課税方式は「申告分離課税」で、他の事業や雑所得などの収益とは分離して考えられます。
税率の違い
海外FXの税率は、所得税、住民税、復興特別所得税を含めて約15%〜55%と幅広く設定されていて、所得が大きくなるほど税率も上がる仕組みです。
国内FXの税制はシンプルで、年収に関係なく、FX取引で得た利益に対して一律で20.315%の税率が適用され、ここには所得税、住民税、復興特別所得税が全て含まれます。
この税率の違いにより、海外FXと国内FXの税金負担は大きく異なるため、自身の本業・副業の収入やトレードの利益に応じてどちらが有利かを判断する必要があります。
損益通算できる範囲の違い
海外FXと国内FXでは損益通算できるものにも違いがあります。
海外FXは、ポイントサイト、フリマ販売、アフィリエイトでの副業収入など、雑所得の範囲なら損益通算できます。
もし他の副業で損失が出ていれば海外FXの利益と相殺できますし、逆に海外FXで損が出れば他の副業の利益を相殺できます。
一方、国内FXでは、他の国内FX業者や先物取引などとの損益通算が可能ですが、事業所得や雑所得との損益通算はできません。
損益繰越の違い
損益繰越ができるかどうかも、海外FXと国内FXの大きな違いです。
海外FXでは、損失を繰越すことはできませんので、毎年の利益と損失は独立して計算されます。
例えば、1年目:100万円の損失、2年目:200万円の損失、3年目:300万円の利益と推移した場合、3年目の利益はそのまま300万円として扱われます。
一方、国内FXでは、過去3年分の損失を繰越して利益と相殺することができます。
これは、過去3年間における損失がある場合には、その損失額を利益と相殺することができます。
例えば、1年目:100万円の損失、2年目:200万円の損失、3年目:300万円の利益と推移した場合、3年目の利益と1・2年目の損失を相殺して3年目の利益を0にできるのです。
繰越できる期間は3年までとなっているため、4年以上前の損失は繰越することができません。
脱税のリスクとペナルティ
国内FXは日本の金融当局の監視下にあるのに対し、海外FXは管轄外で、なんとなく「脱税してもばれないのでは?」と考える人もいるでしょう。
しかし、近年の進んだ情報化社会において、ほぼ間違いなく脱税はバレてしまいます。
海外FXでの脱税がバレるよくある理由としては、次のようなものが挙げられます。
- 税務署の調査:税務署は脱税行為の調査を定期的に行っており、大きな額の送金などがあると、調査の対象になる可能性があります
- 金融機関の履歴の追跡 :税務署は海外の金融機関と協力して口座の調査ができ、海外でのお金の動きを調べられます
- 情報提供者や告発:競合他社や不正を嫌う他人・知人からの情報提供や告発・タレコミによって、脱税行為が発覚することもあります
- 海外送金等調書の提出:銀行などの金融機関は、一定額以上の海外送金や資金移動に関する情報を税務署に提出する義務があるため、海外FXでの資金移動が把握されることがあります
もし脱税行為を行って、それがバレた場合、以下のようなペナルティが科される可能性があります。
- 無申告加算税:確定申告を行わずに納税を怠った場合、無申告加算税が科されます
- 重加算税:確定申告を行っているにも関わらず、故意に所得を隠した場合や虚偽の申告を行った場合、重加算税が科されます
脱税はれっきとした犯罪で、最悪の場合は逮捕や重い罰則が科される可能性があり、経済的な苦難に陥るばかりか社会的な信用を失うこともあります。
海外FXで利益を得た場合は、適切な確定申告と納税を行うことが重要です。
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